2011年2月から毎月連載のふか尾シリーズ広告をご紹介。

百折不撓

|その1| 2011/02/26掲載

極める

最上の肉を見極める、実はそれは至難の技で、ランク付だけでなく、牛肉の隅々まで理解し、お客様にお出しする際のイメージまで浮かぶ、選び抜ける技〝選肉眼〟と鋭い感覚が必要です。

私たち生産者は食肉競り市場へ見に行きますが、間違いない飛騨牛を選ぶふか尾店主の確かな眼に驚嘆します。その一頭を使いこなし、部位により一番美味しい食べ方で提供する、これは牛をとことん理解し、極めたからこそです。

究極の極上「最飛び飛騨牛」を、その眼で見極めるふか尾店主に競り落としてもらえて、それを飛騨から離れた信州・安曇野で多くのお客様に食していただけることは、私たち生産者にとっても本当に誇りな事であります。

~飛騨牛生産者~

|その2| 2011/03/25掲載

語る

「もっと何か出来なかったのかな…」。
店主はおもむろにそう呟いた。
ある夜の営業中、女将が目を潤ませているのに気づくと同時に、ご家族でご来店頂いたお客様の語らいが聞こえてきた…。
「おじいちゃん、今お肉を入れるよ~」。
「鉄のお鍋だよ。聞こえる?お肉がじゅーじゅーぐつぐついってるね」。
しゃかしゃか…「卵をといているとこだよ」。
お孫さんと思われるお客様がおじいさんにひとつひとつ語っている光景だった。
店主は気がついた、祖父の目が不自由だということに…。
料理は〝味覚〟だけでなく、五感全てを以て楽しんでいただきたいもの。でもこのお客様の〝視覚〟の楽しみは、お孫さんの言葉による〝聴覚〟頼り、つまり家族愛だった。
味と質に絶対の自信、そして矜持を持っている。でも「もっと何かを…」。
女将の目を潤ませた慈愛の心、店主が居心地のいい空間創りを決断した瞬間だった。

~採録要約~

|その3| 2011/04/28掲載

魅せる

多くの飲食店は店舗改装を考えた時、まず思うのは席数だという。今より僅かでも多い席数を確保できれば売上増が期待できる。しかし、ふか尾店主の考えは違っていた…。
昨秋(2010年秋)、同店は大改装に踏み切った。思いはたった一つ、『お客様が居心地のいい空間へのこだわり』。誠心誠意のサービスに、さらに何か、感動や驚きを…。
「こうきたか!」。
担当営業の宮本さんは思わず唸ったのち、店主と女将の〝視覚聴覚からもお客様をおもてなししたい〟という思いを具現化すべく、席数はそのままに、空間演出・設計施工に傾注した。施工側からみれば無理難題だったのかもしれないが店主の熱い思いがひしひしと伝わってきて、苦も無く取り掛かれたという。
「私ども(株)信成にとっても自信作です。〝ここは他とは違う〟という事を五感で感じて下さい。」
未だに進化を止めない店舗創り。もうすぐ安曇野は田植えの季節…。

|その4| 2011/05/27掲載

嫁がせる

~寄稿~
花嫁が着る「白無垢」には様々な意味があり、「清純で汚れのない姿で臨む決意」というのが一般的ですが、「これからどんな色にも染まる、嫁ぐ家の色に染まるという心がけ」との説もあるそうです。
私が育てたお米は、ふか尾様にお嫁に行きます。精米された玄米は、白無垢のように真っ白になり、旦那様である〝飛騨牛〟の元に嫁いでいきます。
嫁ぎ先(お店)では大事にされています。小まめな炊飯でお米の味を最大限に引き出してもらい、最高のおもてなしの中で飛騨牛と共にお客様のお口に運ばれます。でも、その際旦那様より目立つことは決してありません。あくまで主役は飛騨牛なのです。それでも、なくてはならない存在感のあるお米であってほしい…、そんなお嫁さんになれるように私は妥協する事なく
厳しく愛情を込めてお米を育て、嫁がせております。
            (あづみのうか 浅川拓郎)
―和牛厨ふか尾の際立つ滋味は、多くの皆様の助力尽力により生まれる。

|その5| 2011/06/24掲載

得る

生産者・識別番号、いわば「肉の履歴書」が付いた〝一頭買い〟。卸や流通を省き、衛生管理が徹底された系列の厚労省衛生基準適合加工場で直接解体する事でコストを抑えられる。安全安心な肉を適正価格で提供できる理由がここにある。
牛肉には等級格付がある。A~Cは歩留まり基準値(同体重でも内臓などを取り除いた後、肉が沢山取れる牛が上級)を、5~1は脂肪交雑(霜降りの度合)、肉や脂肪の色・光沢、締まりやきめの良さを表す。したがって全部で15段階、最上級は〝A5級〟となる。更に霜降り具合度を表すBMS(12段階ほど)という値もある。
黒毛和種で、岐阜県内で14ヶ月以上飼育され、歩留AまたはB、肉質3以上のみが飛騨牛(ひだぎゅう)の呼称を得られる。その中でも『芸術品』とも言える〝最飛び〟の競り市は年に数回行われている。
「最上の飛騨牛をここ安曇野で多くの皆様に召し上がって欲しいだけなんですよ」
と屈託の無い笑顔で店主は語る。その純粋で熱い想いの始まりは…。